エッセイ寄稿「雨の北沢川緑道」フリースタイル47号【その2】

白髪も増えてきた16歳のゴロー。緑道をゆっくり歩く様になったので散歩が楽になりました。リードを引っ張り私よりも先を歩いていた活発な頃と比べてしまうと涙があふれてきそうになります。最近、ゴローと同じ様にゆっくり歩く可愛いマルチーズに遭遇しました。彼女は時々、同じ場所をぐるぐる回っていました。飼い主さんにお歳を伺うと15歳。犬の鍼灸に通っているらしく、出費もかなりかかるそう。不安そうな私に、「お互いがんばりましょう!」と声おかけてくださり胸が熱くなりました。すると、目の前に元気なダックスフンドを連れたおじさまが。「うちは18歳!」といいながら通り過ぎていきました。とっさに私は「長生きのコツはなんですか」とお聞きすると、「別に、特に何も!」と爽やかなお答えをいただきました。もしかしたらペットの寿命も飼い主さんに似るのかもしれませんね。

 長い間同じ道を散歩していると、通らないほうがいい道もわかってきました。ゴローが電信柱のニオイをかいでいるときに、じーっと見つめている年配の女性がいらしたので「こんにちは」とご挨拶。すると、「ちゃんと片付けていってよ」と吐き捨てる様に言われてしまいました。ゴローは何もしていないいんですけど、その方が気になるのならその道は通らないほうが懸命です。

 ある飲食店の前を通るのもやめました。私たちが通るのをご主人がジロジロ見張るので、以前、ゴローがうっかりうんちをもらしてしまったのに気づかず通り過ぎようとしてしまいました。すると背後から怖い声で「拾って」という低い声が足元で鳴り響きました。つづく