【着物】上方舞「吉村会」襲名披露公演にお出かけ

今年の吉村会は、国立劇場で七世家元の襲名披露公演でした。

いつもは5月に開催されるのですが、なぜか今年はお盆のど真ん中でしたので着物はどうしようかなとしばらく悩みました。吉村流の人たちは会では色無地を着ます。わたしは夏物の色無地を持っていなかったので、ワンピースにしようかな、いや、やっぱり着物を着たいな、とぐるぐる考えた結果、控えめな紗紬の訪問着にしました。会のお手伝いをしたり、先輩方と一緒のときは色無地がベストですが、現在、特別な立場のわたしはコーデの範囲が少し広がります。

色無地もない、控えめな付下げもない、そんなときに、この訪問着のように落ち着いた彩色で古典的、でも華やかさもあるものは、静かな舞の会にぴったりです。帯は紗の博多献上帯にしました。一般的に、博多献上帯は付下げや小紋に合わせるものですが、ゑり善さんにすすめられたこの帯は、普通のキリッとした博多献上帯にはないエレガントさが漂っていて、まるでこの着物のために誂えた帯のように思えました。そんふうに全体のバランスと会場の雰囲気にあっていて、纏う人に似合っていれば、フォーマルな式以外なら着物ルールをくぐりぬけることができます。面白いですよね。

燃えるように暑い日でしたので、会場の着物率は半分くらいかなと思っていたら、な、なんと5%弱でした!コロナ禍を過ぎて何かが変わったように感じました。ワンピースのかたが多く、柄シャツに短パンとキャップ姿の男性や、赤ちゃんが泣いていたりと、以前よりもアットホームな感じの客席でした。堅苦しいことが得意でないわたしにとっては、とても居心地がよかったです。

七世家元は、10年以上前のセルリアンの能舞台がとても印象的でした。地唄舞には珍しく、ものすごく迫力があったのを覚えています。今回は、とても穏やかな感じがしましたが、やはり時折、光り輝く動きになんども目が釘付けになりました。舞の魅力の、伝統芸能の中でも極限までそぎ落とした美しさに感動しました。

用事があったので最後までいられなくて、国立劇場の外へ出ると楽しそうな文楽のポスターがありました。尊敬する武原はんさんを思い出しました。はんさんは、文楽から舞の動きを研究されたそうです。

駐車場で、車の中から孫に撮ってもらいました。行きは、汚されないように助手席に座りましたが、帰りは孫と一緒に後ろに座りました。すると、小さな声で「触っていい」と聞いてくるので、ウェットティッシュで手を拭いてもらってから、「いいよ」というと、ゆっくり着物の袖に手を伸ばして、そーっと触わる姿がたまらないほど可愛かったです。じわじわ体も近づけてきて、気づいたら膝の上に!この着物は汚れも目立たないので、孫とのお出かけにもぴったりです♡

去年もこの着物でお出かけしたので、帯違いのコーデを比べてみてくださいね!こちらです。